フラメンコの定番曲、アレグリアス!
その世界観を感じよう!
というわけで、
今日はフラメンコの中でも最も舞台映えする曲、
『アレグリアス』をご紹介します。
スペイン語では、Alegrías と書きます。意味は『喜び』。
数あるフラメンコの定番曲の中でもひときわ明るくリズミカルな曲調で、
衣装や髪飾りも可愛いものが多くライブには欠かせない曲種です。
結婚式やパーティーの余興でも良く選ばれる曲なんで、
フラメンコの舞台やライブに足を運んだことが
ない人でも実はすでに観ているかもしてませんね?
フラメンコの曲種はたくさんありますが、
実はそれぞれリズムや曲調が似たもの同士のグループに分けられています。
※グループ分けをした図はまた別の機会に書きますね。
その分類でいうと、
アレグリアスは『カンティーニャス』という曲のグループに入るんですが、
その中でもフラメンコの舞台でアレグリアスと呼ばれている曲のほとんどは
正式には『Alegrías de Cadiz』 アレグリアス デ カディスと言います。
出てきました!!
Cadiz カディス
逢坂剛さんの『カディスの赤い星』で聞き覚えがある方もいるかもしれませんね??
アンダルシアの訛りで、
『Alegrías de Cai カイ』なんて書かれたりもします。
さて、このカディス。
アンダルシア最南部に位置する町で、アレグリアスが育った場所です。
「え? アレグリアスが生まれた場所じゃないの?」
フラメンコをやっている人なら、そう思うかもしれません。
自分もそうでした。
実はこのアレグリアス、
アラゴン地方の民謡『Jota ホタ』からかなり音楽的影響を受けているとされています。
なかなかフラメンコのような伝承音楽の出所を『ココ!』と確定するのは難しいですが、
一つ言えるのは、
アレグリアスがもっとも似合う街
それはこの『Cai』を置いて他にないでしょう!!!
どんな街かを歌詞の世界からのぞいてみましょう!!!
と、いうことで
今日はこのアレグリアス デ カディスの歌詞や
歌の構成についてお話ししますね。
代表的ないくつかの歌詞だけでも知ってみると
踊る、聴く楽しみは間違いなく増えますよ。
どんな事を歌ってるの?
『喜び』っていうくらいだから、さぞかし、、 ( ´ ▽ ` )ノ
と思うでしょ?
さて、実際は、、、、
たくさんあるアレグリアスの歌詞の中で
特に昔から歌い継がれているものをいくつか紹介します。
まずはこちら。
1 QUE LE LLAMAN RELICARIO
2 A CAI NO LE LLAMAN CAI
3 PORQUE TIENE POR PATRONA
4 A LA VIRGEN DE ROSARIO
1 (カディスのこと)を納骨殿って呼ぶんだ
2 誰もカディスのことをカディスとは呼ばないよ
3 なぜなら守護聖人に持っているから
4 ロサリオの聖母様を
フラメンコの歌詞では
自分の故郷を褒め称える歌詞が定番なんですが
この歌詞がまさにそれ!
守護聖人のロサリオの聖母に守られたカディスがいかに良いところかを歌っています。
いかにもカトリックの国の歌詞ですね。
同じく地元の事を歌っていてもこんなのもあります。
1 BARRIO DE SANTA MARIA
2 QUE DESGRACIAITO FUISTE
3 QUE ES BARRIO DE TANTA GRACIA
4 QUE DE BOMBA TU RECIBISTE
1 サンタマリア地区よ!
2 お前はなんて不幸なんだ!
3 そんなに素敵街並みなのに
4 あんなにたくさんの砲弾を打ち込まれるなんて
昔、フランスとの戦争の時に港町のカディスは敵の船から砲弾を打ち込まれました。
その時のことを書いた歌詞は他にも結構あるんですよ。
明るい曲調からは少し意外な気がしますね。
さらにこんなのもあります。
1 DOS CORAZONES A UN TIEMPO
2 SE HAN PUESTO EN BALANZA
3 UNO PIDIENDO JUSTICIA
4 OTRO PIDIENDO VENGANZA
1 同時に2つの気持ちがあって
2 それが天秤にかけられてるんだ
3 片方は正義を
4 もう片方は復讐を
カディスの町並みとは全く関係なく、
沸き起こった感情が歌詞として残っています。
この他にもたくさんの歌詞でカディスの街や海、
太陽の美しさなどが歌われていますが、
現在のカディスを訪れると解放感に溢れた観光地で
たくさんの歌詞がこの街から生まれたことに納得です!
歌の長さはどうなってるの?
ここまでの説明をきいて「あれ?」と思った方はいませんか?
「そんなに短い歌詞なの?実際に歌われるときはもっと長かった気が、、」
では歌う時にどんな風に歌われているかを解説しますね。
まずアレグリアス デ カディスの歌詞は4行の詩でできています。
フラメンコの歌は少ない行数の歌詞を
繰り返しを使いながら歌って行くことが多いんですが、
このアレグリアスもそうです。
アレグリアス デ カディスは、2行目を最初に歌い、
その後1行目から順に歌っていきます。
こんな感じです。
1.QUE DESGRACIAITO FUISTE (2行目の歌詞)
2.BARRIO DE SANTA MARIA (1行目の歌詞)
3.QUE DESGRACIAITO FUISTE (2行目の歌詞)
4.QUE ES BARRIO DE TANTA GRACIA (3行目の歌詞)
5.QUE DE BOMBA TU RECIBISTE (4行目の歌詞)
6.QUE ES BARRIO DE TANTA GRACIA (3行目の歌詞繰り返し)
7.QUE DE BOMBA TU RECIBISTE (4行目の歌詞繰り返し)
1行の詩を1コンパスで歌い 計5コンパス、または3.4行目を繰り返して計7コンパスで歌われます。
ここまでが歌の前半部分。
そうなんです。
アレグリアス デ カディスの歌詞は
それだけでは完成していなくて、
次に説明するコレティージャという部分の事を知らないと理解できないんです!
尻尾がつきます!
アレグリアス デ カディスの詩はさっき書いたように4行でできていますが、
ほとんどの場合コレティージャと呼ばれる2行の詩をくっつけて歌います。
前半の歌詞の内容に綺麗に対応している事もあれば、
まるで脈絡の無い歌詞が付く事もあります。
コレティージャをスペイン語で書くとCOLETILLA
コラ(COLA)尻尾から派生した言葉で、
本編の後ろにくっつけて使う事からこう呼ばれています。
コレティージャの歌詞を一つ紹介します。
1 A LA BOTIACA NIÑA NO VAYAS SOLA
2 EL BOTICARIO GRANDE GASTA PISTOLA
1 娘さん! あの薬局には一人で行っちゃダメだよ。
2 店主はピストルを持っているからね。
このたった2行の歌詞をこんな風に歌っていきます。
パターン1
1.2行目を順番に歌い2コンパスで歌い切る時と、
パターン2
その後3コンパス目に2行目の歌詞の1部分を歌い、
最後に1行目の詩で締めて計4コンパスで歌う場合があります。
こんな感じです。
1.A LA BOTIACA NIÑA NO VAYAS SOLA 1行目
2.EL BOTICARIO GRANDE GASTA PISTOLA 2行目
3.GASTA PISTOLA MARE GASTA PISTOLA 2行目
4. A LA BOTIACA NIÑA NO VAYAS SOLA 1行目
これで完成。
少し複雑ですね?
まとめると、、
1 アレグリアス デ カディスの歌詞は4行でできている。
2 繰り返しを使って5コンパスまたは、7コンパスで歌われる。
3 さらにコレティージャを2コンパスまたは、4コンパスでくっつける。
基本的には前半7コンパス 後半4コンパスの計11コンパスで歌われますが、
上に書いたような組み合わせの中で違う長さ(コンパス数)で歌われることもあります。
ただ、規則性がはっきりしているので聴き慣れればそれほど難しくはありませんよ!!
アレグリアスの歌詞に少し興味を持ってもらえましたか??
そんなに長い歌詞じゃないので、この機会に1つや2つ歌を覚えてみるのも良いですよ!!!
この次はこのアレグリアスの『踊りの構成』もみてみましょう!!!
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